サラリーマンの副業は禁止されているのか?

近年、サラリーマンの副業が流行っています。

ITスキルを持った方は、パソコン一つあれば仕事ができるので副業のチャンスは多くあります。また、近年は人手不足や最低賃金の上昇に伴い、時短のバイトが多くあります。

しかし、サラリーマンが副業をすることは可能なのでしょうか?

法律上の問題

労働者は労働力を提供する義務を負い、雇い主は賃金を支払う義務を負っています。

副業で問題になるのが、この労働力を提供しているかということです。会社としてはできるだけ質の高い労働力の提供を求めます。副業をしていて本業に支障がでるようだと雇用契約違反を問われる可能性があります。

しかし、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかについては基本的に自由であると裁判所は考えています。

そのため、本業に支障がない程度で副業をすることが大切だと言えます。

就業規則で副業できるかを確認

近年は兼業を認めている会社が増えているようです。まずは自社の就業規則を確認してみましょう。

副業・兼業を認めているパターンの規定(厚生労働省のモデル規定より)

(副業・兼業)
1.労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2.労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行う
ものとする。
3.第1項の業務が次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は
制限することができる。
①労務提供上の支障がある場合
②企業秘密が漏洩する場合
③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④競業により、企業の利益を害する場合

副業・兼業を認めないパターンの規定

遵守事項の規定の中に、

「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」

と規定されている場合は原則副業が禁止されています。

競業避止義務・秘密保持義務

もう一つ注意することは、競業避止義務や秘密保持義務違反にならないかです。

競業避止義務とは、勤務先のライバル関係にある会社に就職したり、勤務先と競合する会社を設立することを禁止する義務のことをいいます。

会社でのポジションが高い役員や管理職などの人は、一般職員より義務違反に問われる可能性が高くなります。

秘密保持義務とは、業務上知り得た情報を外部に漏らしてはなたないということです。

会社のノウハウや顧客情報など、営業上秘密とされている情報が対象となってきます。

もし、競業避止義務や秘密保持義務違反に問われると、懲戒処分や損害賠償請求をされたりします。さらには刑事罰「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又は併科(不正競争防止法第21条第1項)」に問われる可能性もあるので注意しましょう。

副業が会社にバレる原因

会社に内緒で副業をしている方が会社に副業がバレる原因を挙げてみます。

1.住民税額

会社が住民税の特別徴収を選択している場合、副業分の住民税額が増額され、会社に副業が判明することがございます。

対策として、確定申告の際に記入する「住民税に関する事項」の「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」を「自分で納付」にしておく。

画像は国税庁ホームページより引用

こうしておけば、副業分については、自宅に住民税の納付書が送られてくるため、会社には副業分の住民税額は知られません。

なお、キャバクラ等の夜を行う場合、キャバクラ嬢の報酬は給与ではなく、個人事業者への報酬としていることがあります。この場合、キャバクラ店はキャバクラ嬢の報酬について確定申告をしてくれませんので、自分で事業収入の確定申告をする必要がございます。もし、事業収入の申告をしない場合は、脱税行為となり罰則を受けることがありますので注意しましょう。

2.噂話

職場の同僚に見つかり、副業が判明することがございます。接客を伴う仕事を副業に選ぶと見つかる可能性は高いでしょう。

それと、持ち物がブランド品になったり、食事をいつもご馳走したりして、お金回りが良くなったと思われると、本業以外に収入があるのではと疑われるかもしれません。

飲みの席などで、副業のことを同僚に話ししまうことも原因に挙げられます。

3.勤務態度

深夜の副業にありがちですが、本業の勤務時に居眠りをしていたり勤務態度が良くないと、管理者から疑われます。

管理者は軽く探りを入れて来たりします(時には部下を利用する)。一度疑いをもたれると、見つかる可能性が高くなりますので、本業はしっかりこなすことが大切です。

もし会社で内緒で副業をしていた場合でも、本業をきちんとこなしているようであれば、問題とならない可能性が高くなるでしょう。

また、急にお金回りが良くなったりしても、そのお金はどこから来たのかと疑問に思われます。普通は、同じ会社の人であれば、同じような生活水準となります。極端に言えば、同僚に高級車のフェラーリを乗り回している人がいれば、なんであの人はお金があるんだと思いますよね。

繰り返しになりますが、労働者は、雇用契約上、労務を提供する義務を負っています。権利を主張するためには、それ相応の義務を負っていることを忘れないようにしましょう。

裁判例

最後に過去の裁判例を紹介しますので、参考にしてみてください。

副業に関する裁判例

東京都私立大学教授事件(東京地判平成2012月5日)

教授が無許可で語学学校講師などの業務に従事し、講義を休講したことを理由として行われた懲戒解雇について、副業は夜間や休日に行われており、本業への支障は認められず、解雇無効とされました。

十和田運輸事件(東京地判平成13年6月5日)

運送会社の運転手が年に1、2回の貨物運送のアルバイトをしたことを理由とする解雇に関して、職務専念義務の違反や信頼関係を破壊したとまでいうことはできないため、解雇無効とされました。

小川建設事件(東京地決昭和571119日)

毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由とする解雇について、兼業は深夜に及ぶものであって余暇利用のアルバイトの域を超えるものであり、社会通念上、会社への労務の誠実な提供に何らかの支障を来す蓋然性が高いことから、解雇有効とされました。

橋元運輸事件(名古屋地判昭和47年4月28日)

会社の管理職にある従業員が、直接経営には関与していないものの競業他社の取締役に就任したことは、懲戒解雇事由に該当するため、解雇有効とされました。

秘密保持義務に関する裁判例

古河鉱業事件(東京高判昭和55年2月18日)

労働者は労働契約に基づき労務を提供するほか、信義則により使用者の業務上の秘密を守る義務を負うとしたうえで、会社が機密漏洩防止に特段の配慮を行っていた長期経営計画の基本方針である計画基本案を謄写版刷りで複製・配布した労働者に対する懲戒解雇を有効と判断されました。

競業避止義務に関する裁判例

協立物産事件(東京地判平成11年5月28日)

労務者は、使用者との雇用契約上の信義則に基づいて、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないという付随的な義務を負い、原告の就業規則にある従業員の忠実義務もかかる義務を定めたものと解されるとしたうえで、外国会社から食品原材料等を輸入する代理店契約をしている会社の従業員について、在職中の競業会社設立は、労働契約上の競業避止義務に反するとされました。

 まとめ

副業を行う場合、まずは就業規則を確認しましょう。

そして、副業が可能な場合でも、本業に支障がない範囲で、会社と競合関係にない事業所で行うようにします。

会社で内緒で副業をする場合は、解雇される可能性があることを自覚して行いましょう。(本来はダメです。)