外国人の在留資格(ビザ)取り消し事由とその対策

外国人の在留資格は、虚偽申請、日本人と離婚後6か月経過、住所不届出などの理由により取り消される可能性があります。

このページでは在留資格が取り消される事由と、取消事由に該当した場合の対策について説明します。

1.在留資格の取消制度

在留資格の取消制度とは、入管法(出入国管理及び難民認定法)に定められた取消事由が判明した場合に、在留期間の途中であっても在留資格を取り消す制度です。

在留資格取消制度は、2004年(平成16年)に不法滞在者対策のために入管法に規定されました。

在留資格取消事由に該当した場合、必ず在留資格が取り消されるわけではありません。しかし、運よく在留資格が取り消されなったとしても、在留期間の更新申請時にマイナスの評価がされ在留資格が更新されないということがあります。

入管は、在留資格取消事由該当者に対し、在留資格取消制度を用いて在留資格を取り消すか、在留期間更新許可申請を不許可にして在留資格を更新させないかのどちらかで対処することができます。

もし、在留資格取消事由に該当してしまった場合、そうなってしまった経緯や理由を説明し引き続き日本に在留できるようにしなければなりません。

2.在留資格取消事由

在留資格の取消事由は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第22条の4第1項の1~10号に規定されています。

2-1.在留資格取消事由1号

第1号の取消事由は、上陸拒否事由があるにもかかわらず、偽りその他不正な手段により上陸許可を受けた人が対象となります。

例えば、過去に退去強制され、上陸拒否期間5年の間にある者が、退去強制された事実を隠し、偽名を使用して在留資格を取得した場合です。

偽りその他不正な手段とは

偽りその他不正な手段とは、偽変造文書や虚偽文書の提出・提示、虚偽の申し立てなど、申請人である外国人が故意をもって行う不正の行為一切をいいます。また、一定の行為を行わないことも含みます。

上陸拒否事由

  1. 過去に1回退去強制され、5年が経過しない人
  2. 過去に2回以上退去強制され、10年が経過しない人
  3. 過去に薬物不法所持又は売春の斡旋等を理由に退去命令を受け、1年が経過しない人
  4. 過去に出国命令を受け、1年が経過しない人
  5. 懲役・禁固1年以上の有罪判決を受けたことがある人
  6. 覚せい剤取締法違反等の薬物事犯について有罪判決を受けた人
  7. 売春業務に従事した人
  8. 貧困者、放浪者等で生活上、国や地方公共団体の負担となるおそれのある人

2-2.在留資格取消事由2号

第2号の取消事由は、日本で行おうとする活動(国際結婚、仕事など)について、偽りその他不正の手段により上陸許可を受けた人が対象となります。

例えば、留学生として申請した人が、本当は働くことを目的に来日し、学校の授業を受ける予定のない人などです。

2-3.在留資格取消事由3号

第3号の取消事由は、在留資格取消事由1号・2号以外の場合で、偽りその他不正の手段によって上陸許可を受けた人が対象となります。

例えば、日本に上陸申請する外国人が、学歴や職歴等を偽って上陸許可を受けた場合などです。過去の申請書類と現在の申請書類の学歴と職歴が違っている人は注意が必要です。

2-4.在留資格取消事由4号

第4号の取消事由は、在留資格取消事由1号~3号以外の場合で、虚偽の書類を提出して上陸許可を受けた人が対象となります。

例えば、外国人を呼び寄せようとした日本の会社が、虚偽の書類を提出して、上陸許可を受けた人が対象となります。

第4号の取消事由は、第1号~3号のように、「偽りその他不正の手段」が要件になっていません。そのため、外国人の就職先である日本の会社が虚偽書類を提出した場合、外国人がそのことを知らなかったとしても取消の対象となります。

2-5.在留資格取消事由5号

第5号の取消事由は、偽りその他不正の手段によって、在留特別許可を受けた人です。

例えば、日本人と結婚をする理由で在留特別許可を受けたが、結婚の実態がない場合などです。

2-6.在留資格取消事由6号

第6号の取消事由は、別表第1の在留資格の外国人が、在留資格にかかる活動を、正当な理由なく、継続して3か月以上行わない人が対象です。高度専門職2号の方は6か月以上となります。

例えば、「留学」の在留資格を有する外国人が不登校等で学校から除籍になった後、ほかの学校に入学せず、留学生として活動する見込みのない場合などです。

別表第1の在留資格

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 介護
  • 興行
  • 技能
  • 技能実習
  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在
  • 特定活動

2-7.在留資格取消事由7号

第7号の取消事由は、日本人の配偶者、永住者の配偶者として在留資格を有する外国人が、配偶者の身分を有するものとしての活動を、正当な理由なく、継続して6か月以上行わない人が対象です。

例えば、配偶者と離婚・死別・別居してから6か月以上経過した人が対象です。

7号該当者には、申請により他の在留資格(定住者など)への変更が可能な場合があります。そのため、入管は、在留資格変更許可申請や永住許可申請の機会を与えるように配慮するようになっています。

第7号の正当な理由の事例

  1. 配偶者からDVに合い、一時的に避難している
  2. 本国にいる家族の看病のために、長期間出国している
  3. 離婚調停・離婚訴訟中 など

2-8.在留資格取消事由8号

第8号の取消事由は、上陸許可や在留特別許可を受けたこと等によって中長期在留資格(在留カードを取得している人)を取得した外国人が、正当な理由なく、上陸許可等を受けた日から90日以内に住居地の届け出をしない人が対象です。

例えば、上陸空港で在留カードを取得した後、住居地の市区町村役場へ、住所の登録をしない場合などです。

第8号の正当な理由とは

  1. 勤めていた会社が急に倒産したことにより経済的に困窮して新住居が定められない
  2. 長期にわたり入院したため住居地を届けなった
  3. DV被害者が加害者に所在を知られないようにするため住居地の変更を届けなかった
  4. 転居後急な出張により再入国許可により日本を出国中である
  5. 頻繁な出張を繰り返し、1回当たりの日本滞在期間が短い等在留活動の性質上住居地の設定をしていない など

2-9.在留資格取消事由9号

第9号の取消事由は、中長期在留者(在留カードを持っている人)が届け出た住居地から退去した場合、正当な理由なく、退去後90日以内に住所変更の届出をしない人が対象となります。

例えば、転居したが、正当な理由なく、転居後の新住居地の届け出をしない場合などです。

第9号の正当な理由とは

  1. 勤めていた会社が急に倒産したことにより経済的に困窮して新住居が定められない
  2. 長期にわたり入院したため住居地を届けなった
  3. DV被害者が加害者に所在を知られないようにするため住居地の変更を届けなかった
  4. 転居後急な出張により再入国許可により日本を出国中である
  5. 頻繁な出張を繰り返し、1回当たりの日本滞在期間が短い等在留活動の性質上住居地の設定をしていない など

2-10.在留資格取消事由10号

第10号の取消事由は、中長期在留者(在留カードを持っている人)が、虚偽の住所地を届け出た人が対象となります。

例えば、実際の住所とは異なる住所を住居地として届け出た場合などです。

3.在留資格取消事由に該当したときの対策

在留資格の取り消しは、取消事由の対象となっている場合でも、在留資格を取り消すか否かは、法務大臣に裁量があります。そのため、取消事由に該当していたとしても、必ず取り消されるというものではありません。

在留資格取消事由3号~10号の理由により在留資格が取り消された場合、30日以内の特定活動(出国準備)が付与されます。特定活動(出国準備)が付与されると、指定された期間内に日本を出国しなければなりません。指定期間内に出国しないと、オーバーステイとなり退去強制手続きが開始されます。

しかし、出国準備期間に、就職先が見つかったり、新たなパートナーが見つかったりと、日本に在留する事情ができた場合は、在留資格変更の申請をすることも可能です。

在留資格取消事由1号と2号のの理由により在留資格を取り消された場合、特定活動(出国準備)は与えられません。したがって、直ちに退去強制手続きが開始されます。退去強制手続きが開始された場合は、日本人との婚姻や日本人との実子を育てるなどの事情により、在留特別許可の取得を検討します。

事例1 離職後再就職先が見つからず3か月を経過した人

技術・人文知識・国際業務ビザにて在留している人が離職後再就職先がみつからず3か月経過した場合、在留資格取消事由6号に該当します。

技術・人文知識・国際業務ビザは、日本で働くために与えられたビザですから、就職をしないで日本にいると、本来の活動をしていないということで、在留資格の取消しがされる可能性があります。

対策としては、早く次の仕事を見つけることです。就職先が見つからずに更新申請をした場合、許可されることは難しいでしょう。

在留期間更新申請で、在留期間中に3か月以上の無職期間がある場合は、会社を辞めた理由や就職活動を行っていたこと等を説明するとよいでしょう。会社を辞めた理由には、会社が急に倒産していたり、労働環境が悪かった等、何かしらあると思います。

就職活動の立証資料として、ハローワークに行った記録、失業保険給付に関する書類や入金記録、求人へ応募した会社の求人案内等が考えられます。

事例2 日本人夫と別居後6か月を経過した外国人妻

別居が6か月経過している場合、在留資格取消事由7号に該当します。

住民票では日本人夫と一緒のため問題ないと思っている外国人もいると思います。しかし、住民票に一緒に乗っているという形式面だけでは、婚姻が継続しているとは判断されません。もし、日本人夫に連絡が行った場合、外国人妻と別居していると言われるのが落ちです。

対策としては、別居するに至った理由を説明することや他の在留資格への変更を検討することです。

①正当な理由の主張

別居していることに正当な理由があることを主張します。正当な理由とは、「配偶者からDVに合い、一時的に避難している」、「本国にいる家族の看病のために、長期間出国している」、「離婚調停・離婚訴訟中」などが考えられます。

②定住者への変更

正当な理由が認められない場合でも、日本人実子を監護・養育する必要がある場合などは、定住者への変更が認められる可能性があります。

③他の在留資格への変更

就労ビザを取得したり、新たなパートナーと結婚したりすることで、別の在留資格へ変更できる可能性があります。

おわりに

在留資格取消事由は、外国人本人が理解していないことがほとんどです。

在留資格取消事由に該当した場合は、在留資格が取り消される前に、なぜ取消事由に該当してしまったのかを、きちんと入管へ説明できるような準備をしておきましょう。