外国人の就労ビザ-技術と技能の違い-

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 外国人が日本で働くための在留資格、通称「就労ビザ(ワークビザ)」の中には、「技術・人文知識・国際業務」と「技能」というビザがそれぞれあります。

 この「技術・人文知識・国際業務」の中の「技術」と「技能」は、日本語的には同じような意味のものに思えるかもしれません。私たち日本人は、普段の会話の中で「技術」と「技能」の意味の違いをあまり意識していないのではないかと思います。

 でも、日本の在留資格としての「技術」と「技能」は、実は明確に異なるものなのです。

 

1.在留資格「技術・人文知識・国際業務」の「技術」とは何か

 出入国管理及び難民認定法(入管法)の過去の改正により、現在は「技術・人文知識・国際業務」という在留資格になっていますが、改正前は「技術」と「人文知識・国際業務」という二つの在留資格に分かれていました。

 この「技術」と「人文知識・国際業務」というかつての在留資格の違いを端的に言うと、概ね次のようになります。

・「技術」

いわゆる「理科系」の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事する活動の在留資格

・「人文知識・国際業務」

いわゆる「文科系」に属する知識を必要とする業務に従事する活動の在留資格

 つまり、「技術」とは「理科系」の業務の在留資格なのです。

 例えば、システムエンジニアとして日本の会社に就職する場合は、かつてはこの「技術」という在留資格を取得することが必要でした。他にも、機械等の設計者や新製品の開発技術者なども、この「技術」というかつての在留資格にあてはまる可能性があります。

 

2.在留資格「技能」とは何か

 先ほど冒頭で、「『技術』と『技能』は、日本語的には同じような意味のものに思えるかも」と書きました。

 しかし、在留資格としての「技能」は、いわゆる理科系の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事する活動の在留資格だった「技術」と同じような意味のものではありません。

 この「技能」という在留資格ですが、具体例から挙げますと、日本の中華料理店やインド料理店などで働く外国人のコックさんなどが持つ在留資格です。

 外国から来たコックさんは、その国特有の味についての特殊な技能を持っています。もちろん、日本人のコックさんも中華料理店やインド料理店などで働いていることも多々ありますが、それでも中国から来たコックさんやインドから来たコックさんでなければ出せない「熟練の味」というものもあるでしょう。

 このように、産業上の特殊な分野に属する「熟練した技能」を要する業務に従事する在留資格が「技能」なのです。コックさん以外にも、例えば宝石加工職人や動物の調教師、ワインソムリエなどの熟練した技能を要する業務も、「技能」という在留資格に該当する可能性があります。

厨房

 

3.在留資格における「技術」と「技能」は異なるもの

 この記事の「1」と「2」で書きましたが、日本人の感覚からするとさほど意味の違いがないように思える「技術」と「技能」には、在留資格という観点からは明確な違いが存在しました。

 ここで、両者の違いを簡潔におさえておくために、両者の特徴を一言で表現すると、          

・技術=理科系の仕事をするための在留資格(※現在の在留資格の正確な名称は「技術・人文知識・国際業務」)

・技能=主に外国人コックさんの在留資格                            

となるかと思います。

 もちろん、普段の業務で入管法の細かい部分を読み解く必要がある行政書士や弁護士などは、より詳しくおさえておかなければならないのですが、そうでない場合は、まずはこうしたざっくりとした捉え方をしておくことで、「技術」と「技能」の違いをきちんと意識しておくことができるかと思います。

 

4.まとめ

・技術=理科系の仕事をするための在留資格(※現在の在留資格の正確な名称は「技術・人文知識・国際業務」)                                             

・技能=主に外国人コックさんの在留資格

 「技術」と「技能」には、このような明確な違いがありました。

 外国人が日本に滞在するための在留資格については、日本人の普段の感覚で意味や違いなどを考えてしまうと誤解が生じてしまいかねません。もしも実際に自社で外国人を雇いたい、自分のお店で外国人コックを雇いたいなどのニーズが発生した場合は、詳しいことは法務省入国管理局のホームページを見て調べたり、行政書士事務所や弁護士事務所などに相談してみたりするとよいでしょう。

 現在日本を訪れる外国人の数が右肩上がりに増えていますが、外国人の在留資格については単純なものではなく、東京オリンピックの開催も控え、今後さらに外国人を受け入れていく立場である日本人としては、今まで以上に外国人に関する正確な知識が求められてくると言えるでしょう。